トップランナーって、なんだ?

「もう一回、今度は娘と一緒にやっていこうと思って……どう思いますか?」

今日は、笹原さんがオフィスにご相談にやってきた。笹原さんは、デジサーチがシングルマザーファンドで支援している起業家の一人です。

「シングルマザー(一人親)ファンド」とは、自立したいシングルマザー、シングルファザーの皆さんのために、3年前にはじめたプログラム。

子育てしながら働く一人親の方には、時間・場所に縛られない「起業」は、新しい働き方の選択肢になるのでは? これは、デジサーチから社会への提案でもあります。

「1人でも多くのシングルマザーに届くよう、皆さんに拡散をお願いします」とプレスリリースを出して、全国からたくさんんのご応募をいただいた中から

「この人なら、きっとやり抜ける!」とデジサーチのクリエイターたちが信じた3人の方を、第1期として迎えました。

デジサーチが提供するのは、磨いてきた「経営とクリエイティブのスキル」と「事業資金1000万円」。記事を書いたり、画像・動画を作ったりするWEBメディア事業での起業をサポートします。

シングルマザーの皆さんには、会社の経営権と所有権を全て持ってもらう。そのために、通常のベンチャー投資と違って、投資のリターンは、しっかりと売上があがったら後に「出世払い」で返してもらう独自の仕組みです。

3人がシングルマザー起業家となって、3年。2人は黒字化。そのうち1人は、未経験から月100万円の売上を突破しました。「人を雇おうか、どうしようか?」と起業家らしく悩みはじめているところです。

今回、相談にきた笹原さんは、半年ほど仕事の手を止めて、家族との関係や自分を見つめ直していました。「自分に合う働き方ってなんだろう?」と、高校生の娘さんを育てながら考えていたそうです。

今、もう一度はじめてみよう。そうと思ったのは、どうしてだったのでしょうか?

実は、笹原さんが手を止めている間にも、かつて一生懸命込書いた記事が、WEB上でずっと読まれ続けていたんです。そして、毎月10万円ほどの収益も。これは、笹原さんの記事が、世の中の人の役に立っている証、といえるかもしれませんね。

さらに、リスタートしようとしたとき、「わたしも、一緒にやりたい!」と、娘さんが手伝ってくれました。それが、笹原さんにはすごく嬉しかったそうです。

「一緒に、もうちょっとやっていこう!」ということで、これからは娘さんに仕事をお願いしていこうと思っている。今日は、そんな相談でした。

デジサーチの田中さんの答えは、とてもシンプル!

「あ、いいじゃないんですか!そのまま、やっていったらいいじゃないですか。うちで支援していきますよー」だそうです。

「もちろん、今後もまた状況は変わるかもしれない。でも、いいんです。しなやかに、やればいいじゃないですか。自分がやりたいと思った通りのことを、コツコツやっていくしかないんですよ」

ちなみに、笹原さんが休んでいる間、彼女の記事が掲載されているサイトのちょっとしたメンテナンスは、シングルマザーファンド1期生の他の2人がやってくれていたそう。

「3人がそういう関係だったのが、すごいよかったなー、と思って」

実は、シングルマザーファンドをはじめるとき、デジサーチのスタッフたちで思い描いてことがあります。

もし、支援したシングルマザー起業家さんが、ちゃんと売上を立てられるようになったら……。

彼女たちが、同じように、子育てしながら働くシングルマザーの方を雇ったり。投資のリターンとして返ってきたお金を、次世代の起業したいシングルマザーに再投資したり。

「あたたかいお金の巡り方」をデザインすることで、そんな支援の輪が広がる生態系になっていったらいいな——スタッフたちで思い描いていた理想に向けて、一歩前進している。そんな気がしませんか?

「ある意味で、一番出遅れている、と言えるかもしれない笹原さんが、娘さんを雇った。月の売上が100万円を超えている人はまだ雇っていない、というのが面白い感じがしませんか?誰がトップランナーかも、分からない。もしかしたら、笹原さんがトップランナーかもしれないですよね」と、田中さんは、ボソッと言いました。たしかに、そうかもしれません!

人の成長、会社の成長って、なんでしょうか。今日は、そんなことを考えました──R.Y

※このメディアは企業再生案件など、センシティブな話題があるため、登場人物は全て仮名で表記しております。