いつかの「宇宙ステーション」

海外にいると、日本にいる時より、なんだか人とすごく仲良くなれる。そんな経験が、皆さんにもありませんか?

外国人が日本人よりもフレンドリーだから、という話ではありません。たとえ、その相手が日本の人であったとしても、話す場所が海外というだけで、グッと距離が縮まったり。今日は、そこから始まる「身を置く環境」と「人間の変化」にまつまる断片的なお話を、少しずつ。

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今年の3月に開催されたサンフランシスコの「GDC」、ロサンゼルスの「NFTLA」。メタバース、Web3.0、NFTといったテックの最先端に触れられるイベントで日本からの参加者は10名ほど。しかし、その現地でクロコム出身の起業家3人が、偶然居合わせたそうです。

「NFTの価格形成で大事なのは、イキりとクジラなんですよね」

「実際に、クジラと仲良くなれた人もいたりして!びっくりでしょ?」

COEBIの月1定例会に、海外で仕入れた学びを、現地の興奮と共に運んできてくれた三人が口を揃えて言っていたのは「海外の方がすごく仲良くなれるよね」という話でした。実際に、たまたま現地で合流することになった三人は海外で距離もグッと近づき、帰国後も一緒に勉強会をしているそうです。

海外にいるというだけで、いつもより敏感に働く心のセンサー。日本とは勝手が違うからこそ、何をするにも直面し続けるちょっとした困難。そんな時に、言葉と文化を共有できる人と会えれば、連帯感も自然と生まれてきます。日本的な同調圧力からの解放感と相まって、すごく仲良くなれるのも、なんだか分かる気がします。

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パリへ海外出張に出かける予定があったデジサーチの田中さん。そのことを知ったCOEBIの起業家の創くんから「今、アムステルダムにいるんですが、パリに会いに行ってもいいですか」と、メッセージが来て、少し驚いたそう。今の時代、ZOOMでいい。日本でも話す機会はあったし、少し前にも1時間くらい対面で話をしていたそうです。

「わざわざ、パリまで来なくていいじゃないですか。でも、彼は経験的に知っているんですよ、海外だともっと本音で話せるのを。僕と海外で話せば、自分の中の何かが変わるんじゃないか。そう直感的に思ったから、メッセージをしてきたんだと思いますよ」

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「ほら、宇宙飛行士の人たちって、地球に帰ってきたら、価値観が変わったと、みんな言いませんか?あれですよ!あれ!宇宙ステーションに10日もいれば、人間なんて変わるんです。僕は、もちろん宇宙なんて行ったことはないですけど、それと同じ話ですよ」と、田中さんは言います。

90分で地球の周りを1周して、45分ごとに昼と夜が入れ替わる今までにない生活。太陽と地球が相対的に見える窓からの景色。当たり前だと思っていた国境も、もちろん見えません。

「思っているより、人間って弱くて、無意識でも周りからの影響を受けて、変わるもの。だから、身を置く環境によって、柔軟に変化するんです」

期間にすれば短いけれど、密度と濃度が高く、自分の思考がガラッと変化した。そんな経験が、あなたにはありますか?

自分にとっての「宇宙ステーション」はどこだったのか、少し振り返るのもいいかもしれません──R.Y

※このメディアは企業再生案件など、センシティブな話題があるため、登場人物は全て仮名で表記しております。