2022年末ぐらいから、生成系AIサービスが次々に生まれている。便利だ。ほどよいクオリティのコンテンツを、一瞬で生み出してくれる。便利はいいことだ。実際、仕事でChatGPTやStabke Diffusionを使うと、便利だし、速いし、楽しい。

その一方で、デジサーチには、「セル生産」という考え方がある。工程を分業するのではなく、すべての工程を一人で仕上げる方法のこと。これは、便利か不便かと聞かれれば、とくに働き始めは覚えることも多いかもしれないから、ちょっと不便かもしれない―。

ここで、デジサーチの商品ではないのだけれど、あるお菓子の話をしたい。

「甘栗むいちゃいました」と「ねるねるねーるね」。この2つの商品は、クラシエホールディングス株式会社という会社のヒット商品だ。栗の皮をむかなくてもすぐ食べられて便利な「甘栗むいちゃいました」。もう一方は、自分で水を用意し、何種類もの粉をトレイに分けて入れ、説明を読みながら作らなければ食べられない、ちょっと不便な「ねるねるねーるね」。
どちらも大ヒット商品なのだけれど、方向性がちがう。「便利な」お菓子と、「不便な」お菓子。正反対だけれど、どちらも人の心をとらえ、楽しませている。

便利なことと、不便なこと―。機械が実行するなら便利を追求したほうが良いと思うけれど、人間が仕事をする以上、どちらかだけでもつまらないし、個々人によっても心地よいバランスは違う。そして、その個々の集合体のバランスに、組織の色が出るものだと思っている。──T.K