デジサーチの商品を作っていただいている工場に見学に行かせていただくと、毎回とても多くの発見がある。
ひとつのバッグを完成させるには何十もの工程があって、そのひとつひとつに、職人さんごとの色が表れる。

たとえば、バッグのくったり感を出すためには、革の裏から「芯材」といわれるものを貼って支える必要がある。バッグが柔らかすぎても持ちにくいし、堅くなりすぎると美しくない。だから、バッグを構成するパーツひとつひとつごとに違う芯材を使う。

……そんなすごい話を、職人さんは当然のような顔をして話す。
僕たちが「そんなすごいことしてるんですか!」と驚くと、職人さんも「え、そんな驚きますか!」と驚く。

職人さんからすれば、パーツごとに芯材を変えるなんて当たり前のこと。
でも、それは工場の外のひとからしてみれば、信じられないほど手間のかかるこだわりだ。
数えきれないほどの手間やこだわりを、職人さんは何年、何十年とものづくりをするなかで当たり前にしていく。

工場の職人さんたちと並べるのはおこがましいかもしれないけれど、デジサーチの仕事にも似たようなところがある。
分業しないという組織のあり方、Googleのスプレッドシートの使い方、WEB広告の使い方、どれも外部のひとは「信じられない!」という。
本やネットで調べた知識だけでなく、自分なりの実践のなかで、それぞれに合った使い方を極めていく。
そういう手間暇をあえてかけてきたからこそ、新しい技術やツールに触れたときに、手の動かし方がわかる。たとえば「ChatGPTを使った自動化をしてみよう」というとそれぞれ一斉に手を動かすことができる。

ものづくりをするということ、そして仕事をするということは、「当たり前じゃないことを当たり前にしていく」ことかもしれない。
いまの時代、当たり前じゃないことは(比喩ではなく本当に)毎日出てくる。
それらをいかに当たり前にしていくか、それがデジサーチで働くなかでの醍醐味であり旨味かもしれませんね。──S.K